2021年10月27日より29日の3日間の日程でパシフィコ横浜において開催されました 第9回 国際宝飾展 秋 ( 秋のIJT ) に出展して参りました。
新型コロナウイルス( COVID-19 )の感染者数は先進国を中心にワクチン接種が進み、減少傾向にあったものの感染力の強い変異ウイルスの流行で再び増加に転じ、ワクチン接種を完了した人が感染する「ブレークスルー感染」の症例も多く、収束の兆しが全く見えない状況となっています。
接種の進んでいる国でも都市封鎖(ロックダウン)やマスク着用義務の解除後に感染が再拡大しています。日本においても緊急事態宣言の解除が行われ、段階的に更なる緩和が行われていく様で、今後再拡大も予想され、再び規制が行われ、この繰り返しはしばらくは続くのでしょう。
コロナ禍によりニューノーマルな状況となっているとよく耳にしますが、この状況も日々変化しています。新型コロナウイルス下の外出規制や巣ごもり消費で好調であった家具や雑貨や家電などはここにきて反動が出ています。コロナ禍での生活様式の変化をとらえたはずの勝ち組企業でさえ、日々の変化により業績拡大を減速させられる状況となっています。
また、世界的に新型コロナウイルスのワクチン接種が広がり経済や人流の回復期待が強まる一方で、産油国からの原油の供給が絞られ、需給が締まり原油価格が急騰しています。天然ガスなどのエネルギー価格、資源価格高騰も重なり、円も日米金利差や原油の高騰を受け、1ドル109円台から114円台まで急ピッチで下落しています。この状況は今後のインフレを加速させる事になりそうです。
コロナ禍前は世界的なデフレ傾向で、コロナ禍においても経済の低迷によりこの傾向は続くと予想されていましたが、日々変化する状況はインフレを加速させる状況となっています。コロナ禍で各国が過去に例のない様な規律逸脱気味の拡張的財政、金融政策を実施したこと。コロナ禍で東南アジア等での製品、部品供給網が寸断され、その結果供給サイドから価格上昇圧力が生じていること。
米中対立が激化し、半導体などのハイテク製品の分野で供給のボトルネックや途絶が生じて自動車業界など各所で品不足が出ていること。コロナ禍によって生活、仕事の様式が世界的に変わったことで、PC等の不足品の値上がりが目立つ状況となっていること。コロナ禍によりインフレ懸念材料は更に多く発生し、今後も新たな懸念材料が発生するやもしれません。
このインフレ傾向は我々の業界にも近い時計やブランド品にも影響を与え、価格の上昇が目立ちます。今後は我々の宝飾分野にも影響を及ぼす事になるのでしょう。世界ではエネルギー価格も急騰し、各国の中央銀行はインフレを防ぐ為に利上げに動き始めました。ワクチンの普及で経済が正常化してきたところに、景気停滞とインフレが併存するスタグフレーションの影が見えて来ているのかもしれません。
この様な状況下で開催された今回のジュエリーショーは、前年を大きく上回る来場者で賑わいをみせるジュエリーショーとなりました。新型コロナウイルスの感染者数が減少し、経済の回復へ期待も上昇し、コロナ禍前のピーク時程とは言えないものの初日の朝より多くの来場者で会場は久しぶりの賑わいであった様に思われました。
ただコロナ禍の間に大きく変わってしまった社会構造を表す様に、来場者の顔触れも大きく変わってしまった様に思われます。今まで来場者数の圧倒的な数を占めていた中国人バイヤーもまだまだ入国が難しい様で殆どその姿は見えず、日本の小売店様もコロナ禍の緊急事態宣言中の不振からの回復がまだ影響している様でかなり少ない状況でありました。
代わりに今回はフィリピン、インドネシア、タイなどの在日のバイヤーや、日本において新たな販売方法で販売される方が多く見られました。いずれもデジタル技術を駆使し、販売を行うスタイルの方が多く、コロナ禍で新たなビジネスモデルを構築された方が多かった様に思われます。ライブコマースやネット販売などコロナ禍によりデジタルシフトが加速しているという印象を強く受けました。
変化が速く不確実性が増す現在、これまでの延長線上で企業の在り方を考えていく事が難しい時代となってしまいました。弊社もおかげさまで今年で創業20年を迎える事ができました。次の10年、これまでの当たり前から脱却し、皆様へ提供価値が変わる様な変革へ挑戦してまいります。ヒト×デジタルを最大限生かす企業へ。
今回も多くの方々にご来場頂き、本当に有難うございました。今回のジュエリーショーで今年は最後となりました。また来年コロナの状況、中国の恒大集団の経営破綻により世界に大きく波及していく問題、インフレ加速などの多くの問題は続いていく事になるとは思われますが、皆様とこの困難を乗り越え、次の時代に皆様と共に歩んでいく事ができれば幸いです。また来年お会いしましょう。