第22回 神戸国際宝飾展(IJK)

期間
2018/05/16〜2018/05/18
会場
神戸国際展示場
ブース
D5-1
展示会情報

 2018年5月16日から18日の3日間で、神戸国際展示場おいて開催されました 第22回 神戸国際宝飾展 ( IJK 2018 ) に出展して参りました。

 世界の各産業でパラダイムシフトが進む中、我々の業界においてもこの現象が進みつつあります。AIを駆使し商品価格を査定したり、小売りの販売の現場においてもAIが鑑定したダイヤモンドの販売が始まり、我々業界の産業構造も変化しつつあります。

 またもう1つ注視しなければいけないパラダイムシフトが我々の業界にはあります。プラチナとゴールドの格差拡大です。プラチナは用途の4割を自動車の排ガス触媒が占め、工業需要に敏感に反応し易くなっています。米中間の貿易摩擦が深刻化すれば貿易量が減り、世界経済が減速するリスクがあります。景気後退は工業用途が多いプラチナの需要減に直結しかねないとの事から投機筋はプラチナを手放し、プラチナの価格は下落を続けています。

 もともとプラチナは欧州のディーゼル車の販売不振を受けて価格低迷が続いていましたが、更にEVシフトへの産業構造の変化が迫りつつあります。フランスやイギリスはいち早く2040年迄にディーゼル、ガソリン車の販売を禁止する方針を示し、オランダやノルウェーなども2025年迄とする事を検討しています。この自動車のEV化が進むとプラチナの需要が激減し、プラチナの価格はますます下がり、プラチナそのものの価値が変わってしまうやもしれません。

 プラチナは産出量の少なさや加工のし易さから貴重なモノとして扱われています。しかし宝飾品に使用されるフレームとしての素材も、日本でこそプラチナが重要視されているものの、海外では殆どの国でゴールドが使用されており、プラチナとゴールドの格差がますます拡大してしまえば、プラチナ素材の宝飾品が将来には現在程の価値の無いものになってしまう可能性を秘めています。

 また、日本においては自動車業界が日本経済の屋台骨を支えているのは紛れもない事実であり、EV化が進むと多くの日本の産業でパラダイムシフトが起こると考えられています。今後の自動車業界はデジタル製品の様にモノづくりの水平化が進むだけではなく、EV化が進むと、車体の軽量化、鉄から軽いアルミや炭素繊維などへの代替も進むと考えられます。鉄の比率は2030年には4割程度に落ち込むとも言われており、鉄鋼業界がかつての半導体業界の様に技術の方向性を見誤ると一気に競争力を失ってしまいます。日本の自動車業界が舵取りを誤ると裾野が広い分、日本産業全体の競争力を殺がれかねず、日本経済に大きな影響を与えます。現在は少しの要因で大きなパラダイムシフトが起こる状況となっています。他の産業の変化が我々の業界に何を及ぼすのか日頃より対応できる状況づくりが必要となっています。

 そして、現在の世界経済は来月12日に米朝会談が決まり政治面での安定の期待感が高まり株価が上がりました。また、4年3ヶ月振りにアメリカの長期金利が3%台となり、金利が低い日本の円から、金利の高いドルへと投資家のマネーが流れ、1ドル110円台まで円安に向かいました。日米金利差が広がるとドルへマネーが流れる世界経済はセオリー通りの状況となっています。円安は日本の企業業績には追い風ではありますが、アメリカの金利に連動する円安は不透明感があり、アメリカの金利の上昇が急であれば、アメリカの景気を下押しする可能性もあり、アメリカの株価が下落し、ドルにも売り圧力がかかる可能性も秘めています。

 やはり日本国内の小売の状況は良くない様で、日本の方々の購入される商材は手堅いものが多くあまり冒険する雰囲気ではなかった様に思われました。逆に海外バイヤーの方々は他にない個性的な商材を選ばれ、他との差別化、それに伴う利益率アップを考えておられた様です。最近の日本国内で開催されるジュエリーショーは1月のIJT以外は日本の方々の来場者が少ない状況となっており、日本の現状を考えると、この傾向は引き続くと考えられます。

 この様な状況であるが為に多く出展企業が海外バイヤー向けの商材の品揃えにシフトしており、今後ますます日本のバイヤーの方々にとって足の遠のくジュエリーショーとなるやも知れません。当社としましても、今後の課題としてこのバランスを考え、国内、海外の方々にとってともに魅力のあるブース作りをご提案出来る様、努力して参ります。
 今回のジュエリーショーにおきまして、3日間ともに多くの方々にお越し頂きました。今回お越し頂きました皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。