第27回 神戸国際宝飾展(IJK)

期間
2023/05/18〜2023/05/20
会場
神戸国際展示場
ブース
C7-2
展示会情報

 2023年5月18日より20日の3日間の日程で神戸国際展示場において開催されました 第27回 神戸国際宝飾展 ( IJK2023 )に出展してまいりました。

 5月に入り日本列島各地でコロナ禍の様相とは異なり、大いに賑わいを見せています。新型コロナウイルス対策のマスク着用も緩和され、人々のムードは大きく変わった様に感じられます。

 4月29日に日本政府は、日本入国時に必要であった入国時に直前のPCR検査の陰性証明書、もしくはワクチンの3回の接種証明書の提出義務という水際対策を撤廃しました。更に訪日外国人数をかつての水準に戻していく為に、日本政府は5月8日に新型コロナを季節性インフルエンザ等と同じ感染症上の5類に移す事を正式に決定しました。これらの事も影響してか、4月29日から始まった日本のゴールデンウィークは日本列島各地で賑わいを見せていました。

 コロナ禍以前の訪日観光客数は約3,200万人でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う入国規制により2021年には約99%減の約24万人にまで減少していました。しかし、今回のGWはコロナ禍以前の70%の訪日観光客数となり、訪日観光客の消費金額はコロナ禍以前の1.3倍と発表されています。現在の円安と欧米に比べて低い物価水準という2つの要因も加わり、今後のインバウンド需要も引き続くとの予想から日本株の高値が続いています。

 中国はタイ、カンボジア、ロシアなど20か国への団体旅行を3年ぶりに解禁しました。ただし、以前の水際対策をめぐり日本や韓国などは解禁されていませんが、今後中国からの訪日観光客が増えていけば、ツアー客による爆買いも復活し日本の街はますます外国人観光客で溢れるのでしょう。現在の円安、世界から見た日本の物価安はとても魅力的でコロナ禍以前よりも多くの訪日観光客数となる事が予想されています。

 インバウンドにより賑わいを見せつつある状況ではありますが、楽観視出来る状況でもなさそうです。日本は現在かなりの人手不足となっており、各観光地においてキャパシティが以前より小さくなっている状況です。街中の人混み、交通渋滞、トイレの不足、騒音やゴミ問題、環境破壊などと、それらを原因とした地域住民と観光客のトラブルなどのいわゆるオーバーツーリズムが懸念されています。そして日本の生産年齢人口の低下や日本人の労働への意識の変化とインバウンドとのミスマッチは今後の大きな課題となりそうです。

 日本の立ち位置は現在では世界第3位の経済大国であるとの認識が多い様に思われますが今後は大きく変わってしまいそうです。豊かさを表す指標である一人当たりGDPの順位も円安により変わってしまいそうです。円安によりドル換算した様々なデータの値が大きく変わり、世界での日本の地位が大きく低下しています。円の購買力を示す実質実効レートを見ても2010年と比べて見れば半分近くに減ってしまっています。

 実際の経済活動や生活に関係がない、円の購買力がいかに低下しようと日本で生活している限り関係がないと思われがちですが、日本国内で生産出来ないモノの価格は確実に上昇しています。国際的な一物一価を見ても顕著に表れています。iPhoneなどの国際的な転売が可能なモノは日本の価格をそれまでと同じで変えずにいると、ドル建てで割安となってしまい、国際的な転売を防ぐ為に値上げされています。実際、値上げ率は円の減価率と同じとなっています。

 この国際的な一物一価は日本で生産出来ないブランド品や最先端半導体などにも見て取れます。円安が進めば海外生産品がますます高くなり、日本には買えなくなるかもしれません。我々の業界においても輸入せざるを得ない商材、海外で需要の高い商材は急激に値上がりしています。特に希少性がある商材は海外相場が高すぎて、もはや日本の販売の現場では対応不可能な相場となっており、今後高額な希少性のある商材は日本から消えてしまうかもしれません。

 この様な現在の状況下において開催されたジュエリーショーは、コロナに対する規制が緩和されムードが改善されたのか、コロナ禍以前の賑わいで開催初日には大きくの来場者で入場口に長蛇の例ができ、入場にかなりの時間を要する状況となりました。会場は予想を上回る来場者で賑わいを見せ、近年には見る事の出来ない、コロナ禍以前よりも多くの来場者で賑わいを見せたと言っても過言ではない状況となっていた様に思われます。

 その中でもやはり海外バイヤーの勢いは凄まじく、高額な価格帯など関係なく希少性がある、あるいはお値打ちな商材は競う様に購入されていました。特にエメラルド、ルビー、サファイヤなどを代表とするカラーストーンの商材は人気の様でした。これらの商材は日本ではそこまで需要を感じる事がないものの海外での需要が多い為、この先日本から消えてしまうかの勢いを感じました。

 パールにおいては更に需要が高い様で、数年前の3倍近い相場となっている商材もある様です。相場が高騰しているにも関わらず商材が取り合いされており、多くの出展企業ブースにおいてモノによっては完売する事態となった様です。パールパビリオンにおいては過去最高の売り上げとなる出展企業も多く見られた様で、まさにバブルと呼ぶに相応しい状況となっていた様に感じられました。

 今回は日本のバイヤーの方々は少なかった様に感じられました。しかし、お越しになられた日本の方々の殆どは今の状況をよく理解され、今の相場にどう向き合うかを考えられている印象でありました。地金や商材の殆どのモノが円安などにより高騰していますが、今の相場で販売の方法を変えようと、前向きの方が殆どの様であった様に思われました。

 現在はコロナの状況が緩和された事により大きく流れが変わりました。我々の業界も今後も大きく変わっていくものと考えられます。現状では下がりそうにない商材の相場を受け止め柔軟に対応していく事が課題となりそうです。今後も時代の流れに的確に対応し、皆様により良きご提案が出来ます様取り組んでまいります。今回は多くの方々にご来場頂きました。心より御礼申し上げます。ありがとうございました。