香港国際宝石製造業者展覧会 2018

期間
2018/11/29〜2018/12/02
会場
香港コンベンション & エキシビションセンター
ブース
1CB30
展示会情報

 2018年11月29日から12月2日の4日間の日程で、Hall 1 & 3FG Hong Hong Convention & Exhibition Centreにおいて開催されました Hong Kong International Jewelry Manufacturers’ Show 2018に出展して参りました。

 世界の現状は着実に悪い方向に向かっており、好景気に沸くアメリカでさえ多くの人に不満のある形となっています。11月6日に行われたアメリカの中間選挙もその表れなのでしょう。米中貿易問題をめぐるトランプ政権の強硬策で、産業界の一部や農業団体は不満を募らせ、人種差別的な発言や移民排斥論も辞さないトランプ大統領に非白人層は強く反発し、女性蔑視ととられかねない発言への嫌悪感から6割強の女性が不支持となり、アメリカは景気拡大が続くものの経済格差が広がり低中所得層の不満を募らせ、トランプ政権にNOを突きつける結果となりました。

 歴史を振り返ると、1929年にアメリカから始まった世界恐慌により、各国は自国産業の保護を優先して、為替の切り下げや関税引き上げなどの措置を次々にとりました。ここで採用された高関税や輸入制限等の措置は、他国での報復的な関税引き上げを招き、世界貿易を縮小させてしまいました。この保護主義的な貿易政策により加速的な世界貿易の縮小の連鎖に陥り、ひいてはそれが第二次世界大戦を招いてしまいました。その苦い経験から、第二次世界大戦後には多角的自由貿易体制の構築、つまり各国が同じルールの元で関税率の引き下げや貿易の障壁排除を進めていく事が重要だと言う理念が広く共有されて、今日まで維持され、グローバリズムが生まれました。

 しかし、トランプ政権がこの先アメリカの自国の利益を最優先して保護貿易主義を一段と強めれば、多角的自由貿易体制の理念を崩すとともに、再び戦前の様なブロック経済化のリスクを高める事につながる可能性が考えられ、そこに至らずとも、自由貿易による経済効率化、成長促進を損ね、世界経済の発展に大きな損失となり、世界の経済や政治の秩序を著しく悪化させる可能性があると考えられます。

 また、米中貿易問題もアメリカと中国の2大大国が貿易戦争を繰り広げ、互いの経済に打撃を与えあう消耗戦となっています。米中貿易戦争の本質は、経済、先端産業、軍事力をめぐる両国の覇権争いであり、両国共に大きく譲歩する事は出来ない為、米中貿易戦争は長期化すると考えられます。この影響は世界に派生する事は必至である為、今後は輸出先、現地生産ともにアメリカ、中国以外に分散化を図るなど、今後の対応策を考える時期にあると思われます。我々の業界においてもこの両国との取引は多い為、両国の政治や経済の変化に対応が求められます。

 この事の影響で中国の景況感は悪くなっており、我々の業界にも影響を与え始めています。今回のジュエリーショーにおいても、例年より中国人バイヤーの数は少なく、お越しになられた方々でさえ購入意欲は少ない印象を受けました。中国では株が下がり、不動産も今迄の様に売れなくなり、米中貿易摩擦により多くの産業に影響を与えるなど経済が悪くなっている様で、ジュエリーも小売の現場ではかなり苦戦している様です。特に高額品の売れ行きは悪く、今回のジュエリーショーにおきましても余程のお値打ち品でない限り購入は見送られていた様に感じました。

今では多くなった商材の写真を会場で撮りSNSを利用して販売する方々でさえ、今での様に行かず苦戦されていた様です。このSNSでの販売は2019年1月1日より中国電子商取引法が施行される為、ますます厳しくなる事が予想されます。このEC法により納税が義務付けられ、脱税した場合は刑事責任が問われる為、EC上での販売やWeChatなどの電子決済の流れも来年以降変わる可能性を秘めています。我々の業界においても大いに関係があり、今後注視する必要があると思われます。今回は卸としての商いはかなり厳しものとなった様に思われました。

 しかし今回のジュエリーショーは元々ユーザー向けのショーであり、バイヤーの数は少なかったもののユーザーの数は多く賑わいのあるものとなっていた様に思われます。会期3日目、4日目の土日などには午後から多くの来場者で賑わいをみせ、出展企業の商材を見比べ楽しんでいらっしゃいました。当社ブースにもその様に楽しそうにされている方々にお越し頂き、最終日の最後まで商談をさせて頂き、楽しい雰囲気で終える事が出来ました。

 今回のジュエリーショーで今年は最後となりました。今年も様々な事があった1年ではありましたが、皆様に支えられ1年を終える事が出来ました。今回お越し頂きました皆様、今年1年お世話になりました皆様に心より御礼申し上げます。有難うございました。来年も厳しい1年となりそうではありますが、皆様と共に乗り越える事が出来れば幸いです。また来年お会いしましょう。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。