香港国際宝石製造業者展覧会 2016

期間
2016/11/24〜2016/11/27
会場
香港コンベンション & エキシビションセンター
ブース
C-E24,26 C-F23,25
展示会情報

 2016年11月24日より27日の4日間において、Hong Kong Convention & Exhibition Centreにおいて開催されました Hong Kong International Jewelry Manufacturer’s Show 2016に出展して参りました。

 世界中の注目を集めたアメリカ合衆国大統領選挙が11月8日に行われ、皆の驚く番狂わせが起こりドナルド・トランプ氏が第45代アメリカ合衆国大統領に当選し、世界に激震が走りました。この事で世界の金融市場にも混乱が広がり、トランプ氏がどの様な経済政策を打ち出すかが読みにくくアメリカの利上げや通商政策の先行きに不透明感が漂うことから、投資家はリスク回避の為に安全資産とされる円や金に流れ込み、円は一時101円台まで急騰し、金も1トロイオンス1338ドルの高値となりました。円高により日本企業の輸出採算を悪化させるとの懸念から日経平均株価は急落し、下げ幅は一時1000円を越え、新興国の株式や為替相場も全面安となりました。

 特にトランプ氏の当選で多大な影響を被りそうなメキシコのペソは急落し、一時1ドル20ペソ台後半と過去最安値を更新しました。しかし、翌日にはトランプ氏が主張するインフラ投資の拡大で財政負担が強まるとしてアメリカの長期金利が上昇し、日米金利差が拡大し状況は一変、円に流れていたマネーはアメリカへと逆流し、円は106円台へと急落し、日経平均株価も1000円戻す事となり金融市場は乱高下し、現在では、時期大統領による減税やインフラ投資を見越した米金利の上昇が起点となりドル高・円安が進み、円は113円台と大幅な円安となっています。

 しかし、日米長期金利差とドル円相場は連動性が高く、現在長期金利差が拡大してきていますが日米金利差から見ればやや円安に行き過ぎとの声も聞かれる事と、トランプ氏の政策により、財政悪化が懸念され、いずれはインフレ、通貨安に転じるリスクがあり、関税引き上げや移民制限と言った政策も輸入物価や労働コストを押し上げ、インフレと通貨安の要因となりかねないと言われています。トランプ氏は国内産業の保護を念頭に他国の通過安を批判しており、ドル安志向が鮮明なだけに今後はドル安、円高に向かう可能性は否定できません。

 また、アメリカの利上げ問題においても、FRBは12月13、14日に開かれる会合において利上げの可能性を示唆していたものの、トランプ氏の当選によりアメリカ経済政策の不透明感が強まり、企業の投資や個人消費が下振れする懸念もありどうなるか分かりません。トランプ氏はイエレン議長の再任を認めないと選挙の際に発言している事から、12月に利上げが行なわなければ、来年1月にトランプ氏が大統領就任となる為、利上げの可能性は遠のいてしまうかもしれません。そうなるとドル安、円高は加速するやもしれません。そして、トランプ氏はアメリカ・ファーストを掲げている為、今後の各国との外交関係も大いに変化して行く事が予想されます。

 また、インドにおいても流れの大きく変わる出来事が起こりました。インドのモディ首相は8日の夜の演説で、高額紙幣の1000ルピー札と500ルピー札を演説の約4時間後から廃止すると発表し、10日以降に発行される2000ルピー札や新500ルピー札に交換するか銀行に預金する様に指示しました。理由はインド国内でテロを行っている過激派グループが紙幣を大量に偽造し、活動の資金として使用していること、民間での脱税目的の現金決済が行われていることと説明しました。インドにおいては現金決済が主流で現金のみを所有し納税しない人による地下経済がGDPの約50%に及ぶとされており、この事で脱税や犯罪の絡む闇資金対策に踏み切った様です。

 しかし、銀行には連日市民が新紙幣への交換に殺到し長蛇の列が出来たり、紙幣が不足したり、またインドの人口の約50%が銀行口座を持っておらず、預金が出来なかったりと市民の生活は混乱しています。この事は我々の業界にも影響を及ぼしそうです。インドでのダイヤモンドの商取引量は世界でも指折りで、我々の業界は商取引の際現金での決済も多く、今後商取引のスタイルが大きく変わりそうです。また、この事で高額紙幣が金に流れ込みインドにおいて金相場が一気に20%上がった様です。

 現在では新興国各国の通貨は大幅に下落し、お隣の韓国においても政治的不安、欧州や中国の経済も伸び悩んでおり、世界的にとても悪いと言っていい状況となっています。その様な中開催された今回のジュエリーショーは、やはり中国やインドの悪い状況を反映するものとなりました。この両国のバイヤーの来場者数が大幅に減っており、初日のイメージはかなり閑散とした印象でした。売れて行く商材を見ても低額品が中心で景気の悪さを表していた様に思われます。

 しかし、3日目、4日目の土・日曜の午後からは香港の現地の方々が多く来場され、賑わいを見せていた様にも思われました。昨年ご購入頂いた方々が、年に一度の楽しみとされており今年は何を購入しようかと楽しみながら選ばれており、我々もそのお手伝いを楽しくさせて頂き、充実感を感じさせて頂きました。

 今回のジュエリーショーで今年は最後となります。今年は激動と言っていい程の1年であった様に思われました。こうして何とかこの激動の1年を越す事が出来ましたのも皆様方のお力添えの賜物です。来年も大いに変化のある年となる事と思われます。我々も現状に満足せず時代の変化に対応出来る様努力して参ります。

 また来年皆様方と元気な姿でお会い出来ます様願っております。本当に今年1年ご来場頂きました皆様方にお世話になりました。心より御礼申し上げます。ありがとうございました。良いお年をお迎え下さいませ。