香港国際宝石製造業者展覧会 2015

期間
2015/11/26〜2015/11/29
会場
香港コンベンション & エキシビションセンター
ブース
D-B2,D-B4,D-C1,D-C4
展示会情報

 2015年11月26日より29日の4日間、Hong Kong Convention & Exhibition Centre において開催されました Hong Kong International Jewelry Manufacturer’s Show 2015に出展して参りました。

 中国経済の減速や米国の利上げ観測により、世界経済のリスクが増大しています。新興国に流れていた投資マネーの逆流が始まり、新興国の通貨安、株安、債権安のトリプル安が加速しています。特に、政治の不安定な国の通貨安が目立ってきています。現在では金融のグローバル化に伴い巨額のマネーが瞬時に国境を越える為、金融不安は増している様に思われます。

 また世界的な経済の低迷により、鉄鉱石や原油などの資源の需要が鈍り、資源輸出国のブラジル、南アフリカ、ロシア等の国の経済を大きく押し下げています。特に南アフリカの経済の低迷は我々の業界にも大きな影響を与えています。南アフリカの通貨安、世界的な自動車の販売低迷も加わりプラチナ相場の下落が止まりません。生産国である南アフリカの通貨安により先安観が強まった事に加え、自動車の販売低迷により自動車の触媒として使用されるプラチナの需要が減った為に大きく下落しました。またプラチナに引きずられる形で金相場も下落しています。プラチナ程の下落ではないものの、金は保有していても金利も配当もつかないと言う理由から、金市場から資金が流出した様です。

 先から続くダイヤモンド相場の下落に加え、地金相場の下落により我々の業界はますます混乱してきている様に思われます。中国経済もリーマンショック後から現在に至るまで実施した投資主導型の巨額の景気刺激策である4兆元投資の反動に苦しんでいます。設備投資や不動産投資に巨額の資金を注ぎ込み経済規模はもちろんの事生産能力も大いに拡大したものの、需要の拡大の早さをこえた投資の量となってしまい、多くの産業が供給過剰に苦しみ赤字企業が続出しています。供給過剰により価格競争が厳しくなれば、価格は大幅に下落して行き、売り上げは保てたとしても利益が出なくなってしまいます。こうなると増やした設備投資を次々と削減して行くしかなく、4兆元投資の大半は無駄に終わったと言えるかもしれません。加え、株価バブルが弾けた上に、天津の大爆発事故も起こり景気悪化を止める為に、人民元安への誘導を強めようとしています。中国の輸出における価格競争力を高め、雇用の拡大、国内消費、株価の支援など国内の安定を最優先する方針を反映したものと言えるでしょう。

 しかし、人民元が安くなる事により他の国々においても自国通貨切り下げの可能性が高まります。特に、ドイツ、韓国、台湾、マレーシア、タイ、オーストラリア、ニュージーランド等の国々は概ね主力商品の輸出を中国に依存しており、対人民元で不利にならない様に自国通貨を切り下げを実施するやもしれません。その様な通貨切り下げ競争が始まれば、新興国の通貨に対する米ドル相場が一層上昇し米国経済にも影響を与え、現在では世界経済のエンジン役となっている米国経済の減速を誘導し、世界全体が新たな景気減速期に入るやもしれません。加え、先送りされている米国の利上が実施されれば更なる世界経済の変化も懸念されます。

 この様な状況下で開催された今回のジュエリーショーは、やはり雰囲気はあまり良くないと言った印象でした。特に印象的だったのは、以前に比べて中国のバイヤーが激減している事でした。中国の現在の実態経済はかなり深刻な様で、来場された中国のバイヤーの方にお話を伺うと売り上げは前年の半分から3分の1と仰る方が大半でした。

 特に高額品の売行きが悪く、売り上げの金額が下がっているとの事でした。地元香港においても中国の景気減速を受け、中国からの訪問者数が激減しており、香港の景気もかなり減速している様です。今回のジュエリーショーに出展している企業様にお話を伺っても、多くの企業の方は前年よりもかなり悪いと仰っていました。その様な中でもプラスの要素も見受けられます。今回来場されたバイヤーの方々は、現在の状況を何とか乗り切る為の新たな商材を探されていた方が多く、前向きに先を見据えていらっしゃいました。

 また、香港の国を観ても更に大きく発展を遂げ様としています。ICCを擁する西九龍文化地区において、40ヘクタールの広大な埋立地に、芸術、教育、パブリックスペースを生み出す世界最大級の文化拠点を形成するプロジェクトが進んでおり、そのすぐ北側に香港と中国本土の広州、深センを結ぶ広深港高速鉄道の香港側の終着駅が建設されつつあります。開業すれば1日あたり99,000人の乗客が利用すると予測されており、地下鉄としては世界最大規模となる様です。2017年の開業が見込まれており、香港から広州の移動時間が現在の100分から48分へと短縮される様です。そして、2016年に完成予定の香港珠海澳門大橋が完成すれば、香港、マカオを含む珠江デルタ地域の経済発展が更に加速する事が予測されています。

 また、香港カイタック国際空港跡地である啓徳開発( KTD ) と呼ばれるエリアにおいても2019年の完成を目指して計320ヘクタールの広大な地区で、啓徳旅客ターミナル、公営賃貸住宅、地区冷却システム、滑走路跡地を利用した公園、貿易産業タワー、小児科学センター等の建設が進められています。以上の様に香港では都市交通インフラと組み合わせた高密度な統合開発が行われており、今後アジアの世界都市としての国際的な競争力と魅力を高めて行きそうに思われます。現在の状況だけを観て判断せず、近い将来の変化を捉え、変化して行く事が重要である様に思われます。

 今回のジュエリーショーで今年は最後となりました。今年は夏以降、大きな変化となりましたが、皆様に支えられ何とか1年を終える事ができました。来年も激動の1年となる事が予想されますが、皆様と共に乗り越えて行ければと考えております。今回もこの様な状況下にも関わらず多くの皆様にお越し頂き、誠に有難うございました。また来年、ジュエリーショーにおいて皆様とお会いできれば幸いです。皆様今年1年本当にお世話になり、有難うございました。良いお年をお迎えください。