香港国際ジュエリーショー 2024

期間
2024/02/29〜2024/03/04
会場
香港コンベンション & エキシビションセンター
ブース
3CF12
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展示会情報

 2024年2月29日より3月4日の5日間の日程においてHong Kong Convention and Exhibition Centreにおいて開催されました Hong Kong International Jewellery Show 2024に出展してまいりました。今回訪れた香港は英国から中国への返還から26年を迎え、香港国家安全維持法の施行から3年が経ち当局による言論統制が一段と強まり、不況の波も相まってかつての香港の熱気は消え失せています。

 香港政府は1月30日に、2020年6月末に施行した国安法に加え、国家安全条例を制定すると発表し更なる規制を強化するとしました。英国時代の法規定を刷新し、反乱や外国の干渉を招いた罪などが新設される様です。香港の経済的、社会的発展や主要な政策決定、科学技術に関連する情報を対象に含めた中国本土よりの解釈を反映させるもので、今後ますますセンシティブな文章を扱う人々や企業は注意を払う必要がありそうです。

 現在の香港の政治的な不確実性と新型コロナウィルス禍下の規制強化により、香港から数万人の人口が流出し、香港の評判や経済は大きく落ち込んでいます。そこに、米国と中国の緊張や中国の景気減速が香港に一段の試練をもたらしています。今までバブルとも言える状況で上がり続けていた不動産も、取引件数が過去33年間で最低を記録し、深刻な不動産不況が浮き彫りとなっています。中国の不動産不況と共に今後も厳しい状況となりそうです。

 かつて香港は観光大国、買い物天国と言われており、多くの観光客で賑わいを見せていましたが現在は以前の面影は見られません。2023年2月に香港の往来が正常化された時には香港は景気の急回復を期待していましたが、その後の状況は期待値を大きく下回っています。観光客の行動パターンがモノからコトへ変化している現在は香港での買い物に魅力を感じられない状況となっています。

 人民元安・香港ドル高の進行など為替レートの問題も大いに関係しています。香港ドルは米ドルに連動させるペッグ制を採用しており、人民元の対米ドルレートが下落すると、香港ドルに対しても人民元安となります。中国の景気減速は今後も人民元安・香港ドル高の状況を加速させるやもしれません。この事は香港人の消費行動に大きな影響を与えています。これまではあまり見られなかった香港人の越境です。

 香港から中国本土や海外に越境して消費を楽しむ香港人が急増しています。現在の為替レートですと香港よりも他の国で消費を楽しむ方が、買い得感が大きいのが実態となっています。香港を出境する香港人の数は、入境者数を上回っている状況となっており、香港で生じたはずの消費が域外に流出している格好となっている様です。香港の観光客の回復も現在の状況を見る限り非常に厳しい状態となっている様に思われます。

 香港に非常に大きな影響を与える中国経済は非常に厳しい状況となっています。がんじがらめのゼロコロナ政策の結果、中国の景気は大きく落ち込んでいます。2021には不動産バブルが崩壊、深刻化が進み2023年には金融不安が表面化し始めました。若者の失業率も2023年には21%に達し、当局は7月以降のデータ発表を止めるという状況となっています。

 外国投資家は証券投資を大幅に減らし、企業は相次いで中国事業の縮小、撤退を行なっています。中国の通貨、金融は準ドル本位制であるため、外国からの大口資金流入がないと、中国人民銀行は大幅な金融の量的拡大や金利引き下げに踏み切れず、外貨の裏付けが無いと人民元は信用を失い人民元安の進行を止められない状況となっています。

 規制だらけで不透明な中国の金融市場で運用するのはリスクであると考える中国の中間層、富裕層も中国市場に見切りをつけて資産を海外に持ち出す資本逃避ラッシュとなっています。今後も人民元安、中国経済のデフレ進行は引き続き、中国の景気は減速するとの予測が多い様です。現在、我々の業界は多くの割合で中国に依存しており今後の動向が気になります。

 その様な状況の中、今回の香港ジュエリーショーは開催されました。現状を表す様に中国本土からのバイヤーの数は例年と比べて圧倒的に少なく、中国本土からのバイヤーで大半を占める香港開催のジュエリーショーである為、総来場者数もかなり少なく感じられました。中国本土のバイヤーに期待を寄せる出展企業にはかなり厳しいジュエリーショーであった様に思われました。

 中国向けアイテム、特に高価格帯のアイテムの販売は不振であった様で、例年よりも売り上げを落とす出展企業が多かった様です。今まで中国向けにバブルの様に売れていたパールでさえ販売不振であった様で、中国の現状の厳しさが顕著に見られる状況となっていました。今が我々の業界の形、各商材の相場が大きく変わる転換期であるのかもしれません。

 しかし、中国以外に目を向けると様々な国で発展を感じられる今回のジュエリーショーであった様にも感じられます。インドを始め、ASEAN諸国などのバイヤーは以前よりも活気に満ちて仕入れをされていた様に感じます。お話を伺っても皆様景気が良くなっているとの事で、今後のジュエリーのマーケットが変わっていく印象を受けました。弊社ブースにおきましても、中国本土からのバイヤーは少なかったものの、それ以外の国の新たなバイヤーの方々にお越し頂きました。

 目紛しく変わる状況下において、また次回ジュエリーショーにて皆様のご期待にお応え出来る様、弊社も準備を進めてまいります。今回お越し頂きました皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。次回ジュエリーショーにてまた皆様とお会いできましたら幸いです。