2017年3月2日から6日の5日間、Hong Kong Convention & Exhibition Centre において開催されました Hong Kong International Jewellery Show 2017 に出展して参りました。今年最初の香港でのジュエリーショー、年間の中でも多くのバイヤーや出展企業で賑わう3月のジュエリーショー、その中でも中国人バイヤーの影響を大いに受ける今回のジュエリーショーは中国の景気の動向が気になります。
中国のGDPは2016年の実質GDP成長率は6.7%と1990年以来の低い伸びとなり、2017年以降は6%台前半と一層の鈍化が見込まれています。為替も人民元が安値傾向にあり、2015年末には1ドル6.45元前後だった人民元相場は2016年末には1ドル6.95元へと元安となり、2017年にはさらなる元安が予想されています。この中国経済の落ち込みと為替の問題が影響し、中国より資本の流出が止まりません。
中国人民銀行が外貨を売って元を買う為替介入を繰り返し、相場の人民元安を抑え込もうとしてるものの、外貨準備高は1月末に2兆9982億米ドルと5年11ヶ月振りの3兆ドルの節目を割り込み、1ヶ月で減った金額は123億1300万ドルとなりました。資本の流出も1月は440億米ドルもの額となり、資本流出の加速が止まりません。資本流出、人民元安が加速すると中国の国内のマーケットは流動性が悪くなり、混乱を引き起こすやもしれません。
この様な中国の状況下での今回の中国人バイヤーは、中国の経済が落ち込んでいるので、全体的に仕入れの予算は少なくなっている印象でしたが、購買意欲は旺盛であった様に思われました。やはりこの3月の香港でのジュエリーショーは全体的に中国人バイヤーの数が多く、中国人バイヤーの力は改めて大きいと感じました。数年前までは品質がそれほど良くなくでもよかった商材も購入されていましたが、今ではクォリティーの低い物は中国人の目を引かず、特に質が極めて高い商材を金に糸目をつけずに購入する力は今なお中国人がNO.1の様に思われます。
また、アメリカではトランプ政策の大型減税やインフラ投資によりアメリカ経済に押し上げるとの予想から、株高、長期金利の上昇、ドル高のトリプル高の傾向が強まっています。特に大統領就任から即100日以内に実行すると言う100日計画は大いにアメリカ国内において期待されている様です。その内容は7つの経済関係について実行する措置( NAFTAの脱退、TPPからの撤退、中国を為替相場操作国に指定、貿易相手国の不正捜査の開始、国内のエネルギー関連の規制緩和、インフラ建設を阻害する政策の撤廃、国連の気候変動対策プログラムへの出資撤回 )と、10の立法化を目指す措置( 所得税や法人税の税制改革、企業の海外移転を阻止する為の税制改革、エネルギー開発とインフラ投資の促進、教育改革、オバマケア廃止、育児や介護の支援、不法移民対策、コミュニティの安全確保、安全保障改革、政治腐敗対策 )からなっています。
この政策の発表でアメリカの株式市場が活況を呈しており、その中でも35%の法人税率を15%にするだけでなく、留保されている海外所得の法人税率を10%に引き下げるという公約が実行される事になれば、ますますアメリカに世界のマネーが逆流して行きそうです。今回お越し頂きましたアメリカ人バイヤーの方々もこの景況感を表すように、価格とデザインさえ合えば予算など関係なく無制限に仕入れをされていました。今回のジュエリーショーは昨年よりも期待感は薄かったものの、エアポートサイドで開催された素材のショーにおいてもダイヤモンドやパールはかなり好調であった様で、今後相場が上がる事は必至である様です。
湾仔で開催されたジュエリーショーも全体的に雰囲気は良く、高価格帯の商材は今まで程の取引量ではなかったものの、中低額帯の商材は今まで以上の取引が行われていた様に思われました。特にIT環境が今まで以上に発達してる様で、ネットを駆使したビジネススタイルの方々の購入意欲は高いものでした。この先我々の業界のビジネススタイルも大きく変化して行くものと思われます。
今後も今月にオランダ総選挙、4月末から5月にはフランス大統領選挙を控え、いずれも反EUを掲げる大衆迎合の台頭が伝えられており、アメリカでのFRBの利上げも濃厚の状況となっており、国際政治や世界経済は益々変化して行くものと思われます。世界経済が混乱する事にでもなれば、リスク回避の為に金や我々の業界の商材でもあるコモディティにマネーが流入し、相場の上昇もあり得るやもしれません。
今後の動向を注視し、また皆様に納得して頂ける商材を取り揃え、次回ジュエリーショーにおきましても皆様とお会いできれば光栄です。今回は常連様に加え多くの新規にお取引させて頂きましたお客様にもお越し頂きました。心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。