2025年9月17日より21日の5日間の日程で、Hong Kong Convention & Exhibition Centreにおいて開催されました Jewellery & Gem WORLD Hong Kongに出展してまいりました。
ウクライナや中東情勢をめぐる不透明感や、トランプ関税が世界を揺るがし、国際社会やマーケットを不安にさせ、経済や社会が不安定になっています。これらの事は我々の業界にも大きな影響を与え始めています。




トランプ関税により海外向けに販売する企業の業績に打撃を与え始めています。トランプ関税の発動以降、海外需要が激減、為替も含め大打撃となっています。日本から米国向けに輸出されていた高額なブランド時計などは、もともと薄利であったため関税の影響が大きくなっている様です。



中国の景気減速も重なり海外の消費者の購買意欲が鈍化しています。景況感の悪さが我々の業界の商材の相場に影響を与えています。特にダイヤモンドは以前からの人造、合成ダイヤモンドの問題も重なり、相場が下がり、今後も復調の兆しが見えない状況となっています。他の商材も高価格帯の商材を中心に相場が下がりつつあります。




しかし、ゴールドやプラチナなどの宝飾品の土台となる地金の相場は上がり続け、宝飾品としての完成品の価格は以前より大幅に高くなっています。景況感の悪い中、製品としての価格が高騰し、販売の現場は以前より厳しくなってきています。下がるモノ、上がるモノ、そして世界的なインフレも加わり、今後の見通しが立たず、舵取りの難しい状況となっています。



現在も金の価格の上昇が加速し、過去最高値の更新を繰り返しています。世界の政情不安に加え、米国の失業率の上昇、雇用の減速を背景に、FRBの大幅な利下げ観測が高まった事が大きな要因となっています。金利が低下すると金への投資が増し、金価格の上昇は続きそうです。更に、金以外の貴金属にもマネーが流入し、価格が上昇しています。




FRBが利下げを強行すれば、物価高が再熱しインフレが加速してしまいます。中国による人民元経済圏の拡大を目指す動きも加わり、米国ドルの価値が下がるとの見方が強まっています。インフレが加速すれば、個人の消費が冷え込み、景気が減速し、ドルの価値の下落だけでなく、世界経済の失速要因にもなります。今後のFRBの動向に注視する必要がありそうです。



今後の国際秩序がいくつかの陣営に分かれ経済の壁ができれば、世界は様々なブロックに区切られ、冷戦時代の様に物価が更に上昇してしまいます。現在はグローバル時代のヒト・モノ・カネの自由な往来が止まり、世界の貿易が滞ってしまう可能性が出てきている様に思われます。我々の業界も今後の時代の動向に振り回される事になりそうです。




その様な世界的な状況下において開催された香港でのジュエリーショーは、アジアで一番大きなジュエリーショーであるため、世界的に景況感は悪いものの期待感は高かった様に思われます。しかし、初日より来場者数は例年よりもかなり少ない印象でした。中国からのバイヤーの数が少なく、政治的な問題もあり欧米からのバイヤーも少なくなっていた様に思われました。



エアポートサイドにて開催されたショーも、ダイヤモンドのルースに加え、今回は今まで好調であったパールも中国の景気低迷により中国人バイヤーの数が激減し、中国頼みの商材を扱う企業はかなり苦戦を強いられていた様です。香港開催のジュエリーショーは改めて中国の影響を多いに受けたのだと感じました。




しかし、今回のジュエリーショーはコンベンションセンターにて開催されたジャパンパビリオンは賑わいを見せていました。素材は厳しくとも日本製の製品は海外バイヤーに人気の様でした。こちらも中国人バイヤーの数は例年よりも少ない印象でしたが、ASEANを始め今まであまり購入履歴のない国々のバイヤーで賑わいを見せていた様に思われます。



日本の現在の円安により、海外の方には日本の商材はかなり安く感じられる様でした。現在の世界的インフレ進行の中、日本の物価が世界的にも安い様に、日本の商材も安く感じられる様です。今後、日本と世界との物価のギャップが広がれば、この傾向は強まっていくのかもしれません。ただ日本の国力が低下しているとも意味するため、手放しで喜んではいられない状況です。




今回訪れた香港において、街が大きく変わってしまったと感じました。アジア唯一無二の金融都市で勢いのあった香港から多くの人が海外に移住し、少し閑散としています。国安法などが施行され、インフレが加速している香港に住み難さを感じる人が多い様です。政治的にも物価的にも暮らし難くなっている様です。外食ひとつ見ても、香港のレストランで地元の人は外食を控え、一時間ほどで行ける深圳が物価が安いため、深圳に行くと地元の方が話されていたのが印象的でした。



香港で開催されるジュエリーショーも世界の様々な要因により、今後ますます様相が変わって行きそうです。今回、弊社ブースにおきまして多くの方にお越し頂きました。今後もお越し頂けますよう変化を捉え挑戦してまいります。今回お越し頂きました皆様に心より御礼申し上げます。次回ジュエリーショーで再びお会いしましょう。















