香港ジュエリー & ジェムフェア WORLD 2024

期間
2024/09/18〜2024/09/22
会場
香港コンベンション & エキシビションセンター
ブース
3G412
1
展示会情報

 2024年9月18日より22日の5日間の日程で、Hong Kong Convention & Exhibition Centreおいて開催されました Jewellery & Gem WORLD Hong Kong 2024に出展してまいりました。

 8月5日、日経平均株価が過去最高値圏から一転、1987年のブラックマンデーを超える下げ幅を記録し、日本株の急落が世界を揺るがしています。

 7月末に日銀が利上げに積極的な姿勢を見せた事と、8月2日発表の米雇用統計が弱かった事で、景気減速懸念が重なり今回の株の急落が起こった様です。その急落劇は全上場銘柄の2割相当の800社がストップ安水準まで下げる異常事態となりました。保有株が売れなくなる恐怖が更なる売りを誘発し、いわゆる投げ売りが殺到し大混乱となりました。為替も7月中旬に1ドル161円をつけた円相場が、8月5日に1ドル141円と急激な円高となりました。

 今回の急激な円高・株安により多くの企業や個人の資産が吹き飛ぶ形となり、今後の景気の行方が不安視されています。中国の景気減速に加え、米国の景気後退懸念が発生し、米国が利下げを段階的に行うとされています。その日米金融政策の見通しの変化によりますますの円高が予想されています。今回の一件で株・為替だけでなく多くのコモディティの相場下落しています。我々の業界においても金地金だけでなく、多くの商材の相場が変わってしまいました。

 特にダイヤモンドは、中国の景気減速、ラボグロウンダイヤの問題も重なり、相場が急落しています。今後ますます円高が進む事になれば、更なる下落を招く為に恐る恐るの取り引きとなっており、買い控えで値がつかない状況も見受けられます。他の商材においても多くの商材の相場が下落していますが、特に高価格帯の商材の取り引きが減少し、高価格帯の商材のクオリティ基準が厳しくなってきています。

 2024年は世界各国、地域で大規模な選挙が相次いで行われます。多くの国でリーダーが変わり政治が変わる事で、世界情勢に影響を与える可能性があります。日本においても9月末に自民党総裁選が行われ、新たな新総裁・新首相が誕生します。世界に最も影響を与えるであろう11月の米国大統領選挙の行方により、世界の外交、政治、経済は変わって行きます。我々の業界の相場感、景況感も更に一段階変わって行くのでしょう。

 展示会初日の18日にもFRBが金融引き締めを緩和方向に転換し、FOMCは通常の倍の0.5%の利下げを決定し、政策金利の誘導目標を4.75から5.0%としました。また今後も年内に2回の利下げが予定されています。物価高や景気浮揚の為の利下げは米国にとっては追い風となるものの、世界情勢には大きな影響を与える事となります。日本においても円高が進行し、1ドル140円代前半まで進行し輸出関連企業に大きな影響を与え始めています。

 その様な中開催された今回のジュエリーショーは現状を色濃く表す形となっていた様に思われました。特に印象的だったのは中国人バイヤーの来場者数が減少していた事です。例年の半分どころか3分の1以下であったと言っても過言ではない状況であった様に思われました。香港開催のジュエリーショーは中国人バイヤー中心で、中国人バイヤー頼みの部分が強いためかなり閑散としていた印象を受けました。

 エアポートサイドで開催されていたダイヤモンド、パールのショーも同様であった様です。原因は中国の景気の状況がかなり悪いという事もありますがそれだけでは無かった様です。香港において宝飾品や貴金属、パールなどの素材に対する規制が厳しくなってきており、それらに対する法規制なども設定されて以前の様な香港がフリーポートという状況とは全く異なってしまった事にもある様です。

 現金の受け渡しや物流の問題は以前と比べてかなり厳しくなってきており、香港という立地のメリットが売り手側、買い手側双方になくなってきています。現金の問題では、HKドル120,000以上の取引きに加え、USドルに対しても厳しくなってきています。今回弊社も銀行に入金する際にも、USドルは1日に10,000ドル、もしくは全く出来ない銀行があり、米中の政治問題が民間にまで影響を与えている状況となっています。

 物流の問題も規制がかなり厳しくなってきている様です。中国側の規制がかなり厳しくなっており、パールは持ち込み禁止、それ以外の商材の持ち込みも厳しく規制されてきている様です。申告なしで持ち込み、中国税関で加税や逮捕される事も多くなってきています。申告なしで中国に持ち込んだ際も、中国本土での店舗において抜き打ち検査が行われ、申告なしと判断されると加税や没収、さらには逮捕に至るケースもある様です。

 この様な状況下においてわざわざ香港に行って仕入れを行うメリットが無いというのも中国人バイヤーの激減に繋がっていた様です。以前より香港の法規制により欧米系バイヤーが激減している事に加え、今回の中国人バイヤーの激減は今後のマーケットの変化、商材の相場の変化を考える機会となった様に思います。現地香港の物価高も、出展企業に打撃を与えており、今後出展企業も減少し、香港開催のジュエリーショーが縮小して行くのかもしれません。

 今回お越し頂きました方々は今回の規制と全くではなくとも少し関係の少ない方が多く、必要なものは仕入れをなさっていました。雰囲気が悪い中でも日本企業の出品する商材はまだまだ人気が高く、他の国のブースよりも賑わいがあった様です。弊社も今回の状況を鑑みて今後の方向転換に取り組んでまいります。また次回ジュエリーショーにおきましても皆様とお会いできましたら幸いです。今回の状況下に関わらずお越し頂きました皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。