新年明けましておめでとうございます。旧年中は格別のご高配を賜わり、厚く御礼申し上げます。本年も時代の変化に対応し、製品品質の維持向上、供給責任を果たしてまいります。本年も弊社へのより一層のお引き立て、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2025年1月15日より18日の4日間の日程で、東京ビッグサイトにおいて開催されました 第36回 国際宝飾展 ( IJT 2025 )に出展してまいりました。
現在の世界では戦争が各地に飛び火し、ポピュリズムが台頭し、自由貿易が破綻しつつあります。民主主義国では国民の分断が進み、自国第一主義が各国に広がっています。今月20日にはトランプ2.0が幕を開け、世界を豊かにしてきたはずのグローバリゼーションが終わり、国際協調の破綻や保護貿易やブロック経済が進むと予想されており、変化の激しい年となりそうです。
4年振りに大統領に復帰するトランプ次期大統領は中国の最恵国待遇の撤廃、重要品目の中国からの輸入を段階的に廃止、米国企業の対中投資を阻止、対中国関税を60%に引き上げると言及するなど中国に厳しい姿勢で望み、米中貿易摩擦が再燃しそうです。パリ協定からの再離脱、NATOやWHOからの離脱もちらつかせています。戦争、紛争の早期終結も公約しており、2025年の世界はトランプ次期大統領の一挙一動に大きく揺れる事になりそうです。
2025年はそれ以外にも大きく変化を向かえる転換期となりそうです。グリーンバブルを象徴するEV( 電気自動車 )ビジネスが厳しい局面を迎えています。EVが搭載している大型のリチウムイオン電池は強い衝撃を受けると発火し、燃焼力がかなり強力で一度燃えると空気を遮断するだけでは消えず、輸送の際に発火し船が燃える被害が出てきている事。また、インフラ整備が追いついていない。新興メーカーとの間で激しい値下げ競争。欧米などでの高関税が課される事となり、今後ますます厳しい状況となりそうです。
また、世界の平均気温は年々上昇傾向にあり、国際労働機関( ILO )によれば温暖化による熱ストレスの増加が生産性の低下をもたらし、2030年までに世界全体で8000万人分の雇用損失の規模となり、世界の経済損失は2兆4000億ドルに達すると予想されており、多くの市場が失われてしまいそうです。昨今の夏の異常な暑さは経済の停滞要因となりそうです。
世界の不動産価格の下落が少しずつ日本にも影響を及ぼしてきている様です。日本のマンションの価格は国際水準よりは安いものの、現行の日本国民の年収レベルからすると高過ぎる状況となっています。東京23区では平均年収の13.5倍まで上がっていた事と、住宅ローン金利が上昇した事で購入出来ない人が増え、価格が下がり始めた様です。リモート勤務も増えたことでオフィスの空室率が高まり、その周辺の土地価格にも影響を与え始めている様です。中国人によるマンション売却が始まれば更に加速するのでしょう。
これまでの常識が、時代の流れとともに変化しています。デジタル化により、テレビ、新聞、音楽、旅行、金融などなど個人で選択出来る時代となり、産業構造の変化を余儀なくされています。我々の業界も時代の流れとともに大きく変わってきています。日本においては、エンドユーザーの高齢化による商圏の減少、海外においては中国経済の減速による中国マーケットの減少などでしょうか。
宝飾業界も時代の変化の対応が必要な次期にきていると思われます。成長が見込めない旧態依然のビジネスモデルはもはや見切りを付けなくてはいけない時期に来ているのでしょう。時代は大きく変わり、業界も大きく変わってきています。その様な中開催された今回のジュエリーショーは日本において最大規模で、今後の業界の指針となり得るものです。今年の動向に非常に参考になります。
予想はしていたものの、日本の小売店様、卸売業の方、中国人バイヤーの来場者は以前にも増して少なかった様に思われました。現状の宝飾品の現場での売れ行きは非常に厳しく、新たに仕入れを行う雰囲気ではない様です。以前より仕入れた商材が思う様に売れておらず、新たに仕入れをしようにも資金面でも厳しい状況となっているとの声もありました。現状の厳しさを痛感するジュエリーショーとなっていた様に思われます。
この状況により、様々な商材の相場にも影響が出ていた様です。ダイヤモンドは通常年始には相場が上がる傾向にありましたが今回は下がっており、今後も下がり続けるのではとの声が多く聞かれました。パールも数年前のピークよりかなり下がっており、今後を不安視されていました。また、これまで中国マーケットに牽引されていたカラーストーンも、中国の景気減速により高価格帯を中心に下がり始めています。
ジュエリーショー自体も、セレモニーやイベント、装飾などが削られて以前の様な華やかさが無くなってしまっています。今回来場された方の多くから、ワクワク感が無くなった、華やかな商材の仕入れが出来なくなった、見ていて楽しい出展ブースが少なくなった等の声が多く聞かれました。出展企業側もコスト上昇、景気減速により、ブースのコスト削減、実売型を余儀なくされる状況となっており、今後のジュエリーショーもしばらくはこの状況となるのかもしれません。
しかしながら、新たな勢いも感じるジュエリーショーでありました。ASEAN諸国を中心とした海外バイヤーや、異業種から参入されている方など多くの方々に初日より最終日まで途切れる事なくお越し頂きました。購入される商材も、中国人バイヤーや以前より売れていた日本向け商材とも少し異なる印象を受けました。時代の変化とともにお越し頂く顔触れ、商材も変わってきています。まだまだ業界自体にニーズがあると感じるジュエリーショーであったとも思われます。
今年もまた大いに変化のある一年となりそうです。今後の変化やニーズをいち早く捉え、皆様とともにある一年でありますよう努力してまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。今回のジュエリーショーはお越し頂きました皆様のおかげをもちまして、成功裏に終了することができました。今回お越し頂きました皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。