第28回 神戸国際宝飾展(IJK)

期間
2024/05/16〜2024/05/18
会場
神戸国際展示場
ブース
C7-2
1
展示会情報

 2024年5月16日より18日の3日間の日程で、神戸国際展示場おいて開催されました 第28回神戸国際宝飾展 (IJK2024)に出展してまいりました。
明らかに日本は変わってきていると実感できる状況となっており、日本経済が失われた30年といわれているほどの景気低迷の長いトンネルから抜け出そうとしています。


 日本は1960年代に高度経済成長を果たし、70年代の二度にわたるオイルショックを克服した後、80年代に黄金期を迎えました。80年代後半のバブル最盛期には、山手線内の土地の価格だけでアメリカ全土が買えるとまで言われ、日本は世界のトップとして活躍していました。しかし1990年3月、土地バブルを抑制する為に大蔵省による土地関連融資の総量規制と日本銀行による金融引き締めによりバブルは崩壊しました。


 さらに1991年にソ連が崩壊し、冷静の集結とともにグローバル化の波が日本を襲いました。これまであった国境や関税による壁が無くなり、ヒト・モノ・カネが自由に出入りする様になりました。このグローバル化により、日本のヒト・モノ・カネ全ての価値が下がっていく事になり、デフレ進行の要因の一つとなった様です。


 またバブル崩壊後の日本では、1995年の阪神淡路大震災、2009年の民主党への政権交代による円高、2011年の東日本大震災、2014年と2019年の消費増税など、人々の消費マインドを悪化させる出来事が相次ぎました。さらに日本は人口ボーナスから人口オーナスへ変化し、少子高齢化により高齢者が多く生産能力の低い国へと変化していきました。様々な要因が重なり日本は長らく低迷する事となります。


 しかし現在、状況が変わろうとしています。新型コロナウィルスの感染拡大、米中対立、ロシアのウクライナ侵攻により始まった東西の新冷戦などにより国境に再び壁ができ、グローバル化から自国第一主義へと再び戻る事となりました。そして新型コロナウィルスの流行は落ち着き、ヒト・モノ・カネの流通が再開され、生産拠点を中国から自国に移すサプライチェーンの再構築の動きが進み、東西の新たな冷戦がますます激化する社会構造となりました。


 これに伴い、食料やエネルギーを始めインフレの波が世界を襲っています。加えてインフレ抑制のためにアメリカが行った利上げに伴う円安も加速しています。円安は輸出企業に追い風となり多くの上場企業が過去最高益を記録し、日経平均株価もバブル崩壊後の最高値を更新し、史上最高値が視野に入っています。円安によるインバウンドもますます増えるなど、日本経済の復活があちこちで実感できる状況となっている様に思われます。


 ただ一方で、歴史的円安による原材料高で収益を悪化させたり、人手不足などにより多くの中小企業が苦しむ状況となっています。特に、旧態依然のビジネスモデルのままの企業はかなり厳しい状況となっている様に思われます。現在の社会構造においてZ世代( 1990年代半ば以降に生まれた世代 )の社会における割合も増えてきており、価値観、ニーズも大きく変わってきています。


 我々の業界においてもこの状況は大きく当てはまり、ビジネスモデルが旧態依然のままの企業が多く、年々状況が厳しくなってきています。加え、現在の円安や世界的インフレにより金地金をはじめ、多くの商材の価格の高騰に対応出来ない状況となりつつあります。世界的に見れば日本の商材は安い印象がありますが、日本国内においては以前よりかなり高い印象となっており、販売の現場はかなり厳しい状況となっています。


 この様な日本の状況下で、神戸において今回のジュエリーショーは開催を迎えました。
開催初日は多くの来場者で会場全体賑わいを見せるジュエリーショーとなりました。ただ、現状を色濃く表すジュエリーショーであった様に思われます。中国の景気低迷を受け、中国バイヤーの来場者が激減、日本の小売の販売の現場の厳しさを表す様に日本人の来場者は過去に例を見ないほど少ない印象を受けました。


 ジュエリー業界も大きく変わってきています。今回の出展企業を見ても、M&Aなどで企業体制を強化した企業などが大きなブースを構え、その商品力で多数の集客をする光景を目にする事が多かった様に思われました。以前より集客の多かった企業でも、商品力や商品構成が以前と同じ、または以前より弱いと集客に苦労されていた印象を受けました。商材のニーズが以前とは変わり、商品構成、価格などを見直すべき時期なのかもしれません。


 弊社ブースにおきましても、お越し頂きました方々の顔触れは大きく変わった今回のIJKでありました。中国、日本のバイヤーの方は少なく、ASEAN諸国などを中心に新たに宝飾品ブームに沸く海外バイヤーの方々に3日間お越し頂きました。欲される商材も中国、日本のバイヤーの方々とは少し異なり、新たなニーズがあるのだと感じました。今後もこの流れは続いて行くのかもしれません。


 弊社も次回ジュエリーショーに向け、この変化して行く業界の形に合わせた準備に取り組んでまいります。次回ジュエリーショーにおきましても、また多くの皆様にお会いできましたら幸いです。今回のジュエリーショーにお越し頂きました皆様、ありがとうございました。心より御礼申し上げます。