2016年5月11日より13日の3日間、神戸国際展示場において開催されました第20回神戸国際宝飾展に出展して参りました。
中国経済の減速懸念より始まった世界的な経済の減速は更に深刻なものとなってきています。世界各国、各産業において業績不振により企業倒産が相次いでいます。特に中国に依存していた各国の産業は壊滅状態と言える状況の様です。中国からの受注の急減や現地取引先の経営悪化で行き詰まる企業が増えてきている様です。加え、中国の安価な製品の輸出攻勢や資源需要の減少で世界各国の関連企業の経営破綻が起きており、中国発の波紋は世界に広がりを見せています。
また、原油安による企業破綻も相次いでおり、アメリカではシェール関連企業に倒産が多く見られる様になってきています。借金を膨らませて開発し生産してきたシェール企業の経営手法が裏目に出て、金利負担等が重荷となり資金繰りに息詰まる形の倒産がほとんどの様です。原油価格が下がり始めた昨年後半以降の倒産件数は60社を越え、負債総額は約200億ドル、日本円で2兆円を越えるものとなっている様です。あの米アップルでさえ、ドル高による海外収益の目減りや中国などの新興国市場への販売減速が響き、13年振りの減収となっています。米国景気減速を受け、FRBは米連邦公開市場委員会( FOMC )で6月の追加利上げを見送り、米経済の景気判断を「 減速した 」に下方修正しました。6年拡大が続いたアメリカの景気にも影が差してきている様です。
日本においても、景気は大幅に悪化している様に思われます。個人消費をみても節約志向が強まっており、百貨店や旅行、運輸、外食が大幅に悪化しています。3ヶ月後の業況見通しも地震による直接の影響に加え、観光や高額消費では自粛ムードが広がる可能性もありマイナスとなっています。また、企業収益の減速が加速しています。今まで好調であった上場企業の業績は新興国経済の不振や資源安、円高に見舞われ業績が大きく悪化しています。
しかも、円高テコ入れの為に市場の事前予想では日銀が追加緩和に踏み切るとの見方が多かったものの、日銀は4月28日の金融政策決定会合において金融緩和を現状維持すると発表しました。すると、円相場は数分で3円ほど急上昇し、午後には日経平均株価は900円も急落しました。さらに、この円高・株安の連鎖は止まる事なく、円高による輸出企業の業績不安から株が売られ日経平均株価も急落し1万6000円割れ、円も105円台半ばまで急伸しました。日銀は必要なら躊躇なく追加緩和すると言っているものの、アメリカ財務省は4月29日に為替報告書で、経常黒字の大きい日本を通貨政策の監視リストに指定し、円売り介入を牽制している為、なかなか簡単には実行出来そうにありません。
今後は更なる円高に進むとの声も多く、企業業績の不安が更に増して行きそうです。これらの国内外の経済に先行き不透明感が広がりつつある事に加え、熊本の地震による景気への影響も出てきている為、日本政府は2017年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを再度延期する方針を固めました。この再延期は余程現在の日本経済が悪いと言う事の表れなのでしょう。一方、財政規律への影響や社会保障の充実に必要な財源をどの様に確保していくかの問題が浮上してきそうです。
今回の神戸で開催されたジュエリーショーは、余りにも悪い世界的な景況感の中で開催された事もあり、下馬評は悪く期待感はかなり低い雰囲気の中で開催されました。しかし、以外にも初日の来場者の数は多くオープニングセレモニーの段階で溢れんばかりの人々でした。その後会場がオープンすると多くの来場者で賑わいを見せ、初日は不景気を感じさせない雰囲気となりました。主催者側も昨年よりも海外のバイヤーを多く誘致していた様で、海外バイヤーで賑わいを見せていた様に思われました。
その様な中でも、現在の景気を色濃く表していたのが購買単価の低下であった様に思われました。やはり現在の状況では高額品の販売が厳しく、単価の低い商品の販売に移行されている方が多かった様です。その為単価は下がったものの、商品数は例年よりも数多く売れて行く印象を受けました。カラーストーンの売れ行きは良く、特にルビー等は人気があった様に思われました。但し、今回は3日目になると海外バイヤーが2日間で多く帰国した事もあり極端に来場者数は減りました。
今回のショーは関西開催と言う事もあり、関東からの来場者が少なかった為、日本の来場者は少ないと言う印象でした。今回出展した企業のお話を伺っても良かった企業と悪かった企業は両極端でお客様のニーズを的確に捉え、準備されていた企業は好調であった様です。今後もますます厳しい環境になる事は必至です。この状況を何とか乗り切る為に企業経営の舵取りを考え直さないといけないと痛感する次第です。本当に厳しい状況下においても、今回多くの皆様にご来場頂きました。逆に皆様に励まされ、感謝で一杯の今回のジュエリーショーとなりました。今後も皆様の良きビジネスパートナーとなり、皆様に恩返しの意味も込めてより良き商品をご提供出来ればと考えております。皆様には本当にお世話になり、有難うございました。心より御礼申し上げます。