2024年10月23日より25日の3日間の日程で、パシフィコ横浜において開催されました第12回 国際宝飾展 秋(秋のIJT)に出展してまいりました。
9月27日の自民党総裁選において石破新総裁が誕生し、今後の日本がどの様に変わるのか、日本も大きく変わる局面にきています。
新総裁の選出から土日を挟んだ週明け30日の東京株式市場では、日経平均株価が大幅に反落し、1910円安の3万7919円となり、新総裁後初日の取引きとしては1990年代以降としては最大の下落率となりました。新総裁の政策の不透明感がこの状況を生んでいた様です。反アベノミクスや金融所得課税の強化に意欲を示しており、実現すれば株式市場には逆風となりかねず海外投資家も警戒をしている様です。
30日の外国為替市場においても対ドルの円相場は141円まで上昇し、約2週間振りの円高・ドル安水準となりました。新総裁は日銀の追加利上げを否定しない事に加え、米FRBの利下げにより日米の金利差の縮小が加速するのではと予測され、円高は輸出関連企業の営業利益の下振れ要因となり、輸出関連企業の業績に影響を及ぼすかもしれません。
その後新総裁は日銀総裁と対談し、利上げをする様な環境にはないとの認識を示しました。加え10月4日発表の米雇用統計で伸びが市場予想を大幅に上回り、好調な市場が消費を 支え2025年前半にかけて景気の底堅さが続くとの予想から、米国債の売りが広がりました。米金利上昇がドル買いを誘い円相場は急落し、8月末以来の1ドル149円台となりました。政治・経済により急激に変わる局面は今後も引き続き、状況を注視する必要がありそうです。
市場での余剰資金は海外の金融機関や投資ファンドによって吸い上げられ、ニューヨークなどの市場で運用されます。次に、米国の銀行や投資ファンドなどがより高い投資利回りを求めて、新興国市場等に融資します。これまで好景気に沸いた中国がその代表です。日本の株価が上昇したのは中国経済が失速し、そこに投資されていた中国の株式など金融市場に向かっていた国際的な投資資金が日本の株式市場に流れ込んできたからの様です。
実体経済はさほど良くないはずなのに、株価だけが異常に高値になっているのが日本の状況なのでしょう。実際、日本において中堅・中小企業の倒産件数が加速しています。2024年度上半期の企業倒産件数は上半期として10年振りに5000件を超えました。物価上昇や人材不足、時代の変化への対応不足、政府によるコロナ禍の資金支援策であるゼロゼロ融資の返済の本格化が主な原因の様です。今後は金利上昇も倒産の増加要因となりそうです。
また、11月の米国大統領選の結果により一段と世界の情勢は大きく変わるのでしょう。G7を中心とした欧米諸国とロシア、北朝鮮、イラン、そして中国を中心とした南半球の開発国を取り込んだ新たな経済圏であるグローバルサウスの2つの価値観がぶつかり合う文化衝突により世界はより一層混乱する可能性を秘めています。今後の世界における日本の立ち位置、そしてその状況の変化に注視しなければなりません。
今回横浜で開催されたジュエリーショーも現状を色濃く表す状況であった様に思われました。中国の景気減速、日本の実体経済の悪さを表す様に中国人バイヤー、日本の来場者は過去に例を見ないほど少ない印象を受けました。来場された方も購買意欲も少ないバイヤーが多く現状のマーケットをリサーチしようとする方が多かった様に思われました。現状は思っているよりも悪いのでしょう。
この横浜のジュエリーショーの期間中に、中国の北京において10月24日から28日のほぼ同時期に北京国際ジュエリー博覧会が開催された事も中国人バイヤー激減の要因であった様です。北京開催のジュエリーショーに出展している企業の多くがこれまで日本開催のジュエリーショーにバイヤーとして仕入れにこられており、今後も同時期に中国で開催される事になれば、同じ様に中国人バイヤーの来場は少なくなるのでしょう。
一方で、以前よりは少ない印象は受けましたがライブコマースによる販売はまだまた活気がある様に思われました。ライバーを受け入れるブースは賑わいを見せていた様です。ダイヤモンドやパールなどは相場の急落により現状に悲壮感が漂っていますが、ライブコマースではまだ影響は少ない様でした。今後も形は変わって行くのかも知れませんが、SNSを駆使したライブコマースは残っていきそうです。
ただ、日本開催のジュエリーショーにおいて、これ程までに日本の来場者が少ないと今後のジュエリーショーのあり方は変わってしまうのかも知れません。実際、今回の出展企業の中にも次回の横浜開催のジュエリーショーに出展しないとの声も聞かれました。出展する為の費用も年々高くなってきており、費用対効果も年々悪くなってきています。今後規模が小さくなってしまえば、ジュエリーショーの魅力もなくなってしまいそうです。
今後の世界の変化と同じく、ジュエリー業界も今後大きく変わっていくのだと今回のジュエリーショーにて感じました。政治や経済が我々の業界にも大きく影響を与える様になってきています。そして、そのスピード感もますます増していくのでしょう。今回の横浜開催のジュエリーショーをもちまして今年最後のジュエリーショーとなりました。今後の変化に乗り遅れる事なく、また来年の1月のジュエリーショーに向け準備を進めてまいります。また次回ジュエリーショーにて皆様をお待ちしております。今年も多くの皆様にお越し頂きました。心より御礼申し上げます。有難うございました。