第10回 国際宝飾展 秋 (秋のIJT)

期間
2022/10/26〜2022/10/28
会場
パシフィコ横浜
ブース
17-1
展示会情報

 2022年10月26日より28日の3日間の日程でパシフィコ横浜において開催されました 第10回 国際宝飾展 秋( 秋のIJK2022 ) に出展してまいりました。コロナ禍の状況が2年を過ぎて常態化し人々の生活様式や企業のあり方が大きく変わり、ロシアのウクライナ侵攻という要因も加わり、世界経済は大きな打撃を被っています。

 大きく変わりつつある流れの中で円相場の下落が止まらない状況は今後大きな変化を生むやもしれません。円安の背景には利上げを進める米国との金融政策の違いから、ドル金利上昇で円安・ドル高に拍車がかかっており、コロナ禍やロシア・ウクライナ戦争などの要因によるインフレがもたらした一時的なものとの意見もありますが、どうも状況はもっと深刻である様に思われます。

 この円安は主要通貨全体に対する円の実質的な価値を示す実質実効為替レートでは1972年以来の50年前の水準に低下し、ドル建てでみた2022年の国内総生産( GDP )は、30年振りに4兆ドルを下回りドイツに抜かれ、世界第4位となる事が現実味を帯びてきています。円の価値がこのまま下がり続ければ、日本の国力低下に拍車がかかり、今後新興国との立場も逆転してしまうやもしれません。

 実際日本国内でインフレが騒がれ、多くのモノの価格が上がっていますが、海外から見ればかなり安く、海外から来られた方、海外に行って戻られた方は日本の物価の安さに驚かれています。今後海外からの外国人の入国も緩和され、外国人の訪日数が増えれば、日本の安さに気づき、かつて日本の高度経済成長期に日本企業、日本人個人が海外資産を買い漁っていた頃の様に今度は海外の方が日本の資産を買うのかもしれません。

 世界経済のグローバル化の流れが、自国第一主義などで逆流を始め世界の供給網は寸断されてきています。ロシアのウクライナ侵攻は早くも半年が過ぎ、その間に石油や天然ガスなどのエネルギー価格は急騰しています。現在では地球温暖化による異常気象により、世界中あちこちが甚大な被害に見舞われています。これらのインフレ要因は根が深く簡単には拭い去る事はないのでしょう。

 この20年ほど先進国を中心に各国が、異常なまでに大量の資金供給に走ってきました。大量にばら撒かれたマネーが行き場を求めて、金融マーケットに株式や債権市場などに流れて行き、バブル感無きバブルを膨らませていました。それらが本格的なインフレにより次なる投資先であるインフレの現場に、マネーが実物資産へ向かい出しそうです。

 我々の業界においてもこのインフレは大きく業界の流れを変える要因となっています。インフレにより我々の業界の商材のコストは上がり続けています。しかし景気の低迷もあり日本国内の現場では今の相場について行く事が難しい状況となっています。逆に、急激な円安により日本の商材に割安感を感じる海外バイヤーは日本企業より多くの仕入れを行なっています。

 中国を始め、アメリカ、フィリピン、ベトナム、インドネシア、マレーシアなどでも日本の商材が認知されてきており、良い商材は海外へ輸出されており、今後もこの流れは暫くは続くものと思われます。日本国内においては現在の相場感、今後の相場感に対応し、販売に繋げる事の出来る対応策が喫緊の課題であります。

 日本の現状はかなり厳しいと思われます。しかし、歴史的な円安は現在の世界におけるリスクの高まりとともに絶好のチャンスなのかもしれません。海外主要国の中では割安となる日本の賃金水準や、生産コストをさらに下げる現在の円安は大きな追い風です。生産拠点回帰、インバウンド市場獲得など国内経済を強化し、海外資本を呼び込むなどの手立てはありそうです。日本が本来もつ強みが発揮出来ればこの苦境を乗り越る事が出来ると信じます。

 現在の厳しい日本の環境下で開催された今回のジュエリーショーは、ライブコマースの為のショーと行っても過言ではない雰囲気であった様に思われました。時代背景を表す様にSNSを駆使し商材を海外へ輸出する。円安も加わり以前よりも賑わいを見せていた様に思われました。今後もこの流れは加速していくのでしょう。

 海外からの入国が緩和された事もあり、今回は海外バイヤーの姿が多く見られました。日本の宝飾品が人気である事に加え、金余りの状態の海外バイヤーは現在の急激な円安により、購入意欲旺盛でありました。香港でのジュエリーショーがなかなか完全に再開される見込みがない状況で日本企業が香港に出展出来ない事もあり、日本の宝飾品を購入するなら日本に行くしかないと言う理由もある様です。

 今回のジュエリーショーは海外と日本の温度差を感じるショーでありました。日本では人口減で生産年齢人口の減少が進み、働き方、労働意欲の低下などの問題もあります。そこに今回の急激な円安で外国人労働者の海外流出も起こり始め、今後も円安が進めば日本人までが海外に働き口を求めて流出するやもしれません。

 日本の状況はかなり厳しくなりつつありますが、この先の日本の状況を注視し、お越し下さる皆様により良きご提案が出来ます様今後も取り組んでまいります。今回はコロナ禍前の状況を思わせるかの雰囲気で初日より最終日まで多くの方にお越し頂きました。ご来場頂きまして有難うございました。心より御礼申し上げます。また来年皆様と共に良い年となれましたら幸いです。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。