香港国際ジュエリーショー2016

期間
2016/03/03〜2016/03/07
会場
香港コンベンション & エキシビションセンター
ブース
3C-F12
展示会情報

 2016年3月3日より7日の5日間、Hong Kong Convention and Exhibition Centreにおいて開催されましたHong Kong International Jewellery Showに出展して参りました。

 中国の景気減速により不安は資源国へと広がり、堅調であったアメリカやドイツにまで及び始めています。世界経済を引っ張ってきたアメリカ経済の先行きにさえここに来て不透明感が出てきました。世界各国が輸出先として期待しているアメリカの消費市場は堅調なものの、アメリカの経済への期待から、ドルが買われ続けた結果、この一年間でブラジルのレアルに対して約4割、中国の人民元に対して約5%を始め主な新興国通貨に対してドルは軒並み上昇しました。その結果ドル高は輸出企業の価格競争力を低下させ、輸出が減ってきている様です。

 また、原油価格の急落もアメリカ経済に打撃を与えている様で、北米の石油・ガス関連企業の倒産も相次いでおり、企業業績の悪化は労働者の賃金や雇用にも悪影響が及び、個人消費を冷え込ませる事が懸念されています。これらに加え、株安も懸念材料となっている事から、9年半振りの利上げに踏み切ったFRBは年4回の利上げを模索していたものの、経済状況が良くならなければ追加利上げのペースを緩やかに調整する考えを示しました。このFRBの発表を受け、急激な円高・ドル安へと向かい1ドル120円台だった相場は、1ドル111円台まで上昇し、10日間で9円も上昇しました。2%を越えていたアメリカの長期金利の利回りも急速に低下しており、有利な投資先を求める資金はアメリカから日本へと戻りつつあります。

 年明けから円高傾向にあった為替が、日銀のマイナス金利政策発表により一気に120円を大きく越える円安傾向へ向かっていたものが元に戻ったという印象です。現在の世界的な株安不安はかなり深刻で、世界の投資は円が安全だと考え円を買う傾向が強く、この為替の流れは日銀だけではどうしようも出来ない程の大きな流れとなっている様に思われます。また、アジア諸国に目を向けると中国経済の減速により、韓国、台湾、ベトナム、インドネシア、マレーシア、シンガポール、そして香港等ではかなり輸出不振が深刻で各国の景況感はかなり悪化している様です。中国経済減速の影響を受け、世界中で中国関連の企業倒産も相次いでおり、今後ますますチャイナインパクトの影響は世界に波及していきそうです。

 この様な状況下で開催された今回のジュエリーショーは、現在の世界の景況感を色濃く表していた様に思われました。例年よりも来場者の数が減っており、特に中国からの来場者が激減していた様に思われました。初日こそかなりの賑わいを見せたものの、全体的にムードは良くない印象を受けました。売れゆく商品の傾向をみても、高額品の販売が更に鈍くなっており、余程お値打ちでない限り購入されない雰囲気でした。以前よりクオリティーの高い商品だけは販売が好調であったものの、今回はいくらクオリティーが高くとも、余程お値打ちでない限り購入されない雰囲気でした。

 現在日本のマーケットにおいてもクオリティーの高い商材は、天井と言える程の高値で取引されており、今後の相場の動向が気になる所です。相場と言えば、エアポート側で開催されていた素材のショーでは今回ダイヤモンドの販売が好調であった様です。特に日本のダイヤモンドを取り扱う企業の相場が世界的に安かった様で、かなりの賑わいを見せた様です。今後ダイヤモンドは日本マーケットにおいても相場がかなり上がる事となりそうです。真珠においても現在では高値水準にあるものの、中国において非常に人気があり需要が旺盛な為に好調であった様です。

 現在では金融市場同様、我々の業界においても短期間で相場が乱高下しています。以前私は、ベテランの元トレーダーから、「 上がり過ぎた相場は必ず下がるし、逆に下がり過ぎた相場は必ず上がる 」と伺った事がありますが、正に現在の状況に当てはまる様に思われます。相場と言うものは必ず上下する為、今の現状においてその物の相場が何処の位置にあるか、またそれが適切であるかを的確に判断する必要があるのだと考えさせられます。

 余談ですが、今回訪れた香港では小売り市場がかなり悪化している様です。他国の中国本土観光客に対するビザ緩和、香港ドルに対する通過安、深セン市民数次ビザ引き締め、並行輸入活動への抗議デモなどの影響で来港者数が激減している様です。旧正月元日にあたる2月8日に起きたモンコックでの暴動などは香港に対するイメージに非常にマイナスとなっている様です。これらの要因から、香港の小売り市場は2年連続のマイナス成長となり、重症急性呼吸器症候群( SARS ) による打撃を受けた2003年より悪化している様です。また香港のホテル業界も影響を受け、来港者減少の為宿泊料金を10~15%引き下げざるを得ない状況となっています。街を歩いても人の数がかなり減ったと言う印象を受けました。

 今回のジュエリーショーは世界的な景気減速の煽りを受けかなり厳しい状況となりました。今後の情勢も先行き不安なのは変わりません。しかし皆様と共に何とかこの状況を乗り越えて行きたいと考え、我々も努力して参ります。今回この様な状況下にも関わらずお越し頂きました皆様には心より感謝しております。本当に有難うございました。