2017年10月25日から27日の3日間で、パシフィコ横浜において開催されました第5回国際宝飾展 秋 ( 秋のIJT ) に出展して参りました。
現在の日本においては、不足から過剰の状態になっており、この事により低成長時代へと突入しています。経済の停滞や不調と言った事だけではなく、日本の社会が成熟段階に入ってしまっている事の表れである様に思われます。不足の時代はいかにモノを効率的に生産し、大量生産でコストを下げ、供給し易くする生産活動をベースとした経済で良かったものの、現在の様な過剰の時代に入ると、人々の関心はモノではなく、心を満足させるコトへと移ってきています。この流れは当然で、人々が不足を感じる事で次々と新しい財物が創造され、新たな欲望が創出される度にもっと豊かになりたいと願う事でモチベーションが持続されていました。
しかし、もはや不足が満たされて、もうこれ以上モノは要らないと感じる成熟社会が始まっています。日本にはGDPの3倍以上にもなる1700兆円もの金融資産がありますが、この半分以上は60歳以上の人が持っており、それをモノに使おうとせず、いざという時の為の貯蓄に回しています。そして若い人はと言うと特に贅沢はせずに自宅にこもり、ゲームやインターネット等をして日々を過ごし、老後の不安を感じて30歳を過ぎた頃から貯蓄に励む様な生活をしています。老いも若きも老後が不安と言う現状でマネタリーベースを増やそうが、金利を下げようが景気は良くならず、日本の不況の原因となっている様に思われます。
現在では新興国企業の猛追だけでなく、UberやAirbnbの様なアイドルエコノミーを利用した企業、上場せずに時価総額が1000億円を超えるユニコーン企業の登場、IoT、Fintech、バーチャルリアリティ、ドローンなどの破壊的イノベーションにより産業の垣根を越えた産業の突然死がいつ訪れてもおかしくない状況となっています。企業としてはこの様な成熟社会としての少子高齢化、外的要因による実情を理解した上で戦略を立て、行動しないと必ず失敗する状況となっている様に思われます。
この様な状況下で開催されたジュエリーショーもこの状況を色濃く表すものとなりました。ジュエリー業界も成熟段階に入っている様で、以前からある商材の売れ行きは悪かった様に思われます。ある程度ユーザーに行き渡ってしまっている事の表れなのでしょう。会場で賑わいを見せる企業のブースには新たに企画提案された商材か、個性的な商材か、価格のお値打ちな商材が置いてあり、それらを取り扱わない企業のブースは逆に閑散としていた様に思われます。
今回のジュエリーショーはどうせいつも同じであろうと思われている方が多いせいか、来場者数は少ない状況でした。今回来場された方は今の業界の状況を感じよう、何とか次の一手を打つ為の商材を見つけようと前を向いている方が殆どで、この様な方々が今後の業界を引っ張って行くのであろうと感じました。
何もかもが猛スピードで変わって行く今の時代に、今までの常識は通用しなくなってしまいました。これからは情報量と行動力の差で大きく変わる時代へと突入して行くものと思われます。日本で開催されるジュエリーショーは今回で今年は最後となります。今年も一年間、皆様には大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。来年に向け当社も変化に取り組みます。また来年、新生片岡商店ブースにてお会いしましょう。