Hong Kong Jewellery & Gem Fair September 2019

期間
2019/09/18〜2019/09/22
会場
香港コンベンション & エキシビションセンター
ブース
3F502
展示会情報

 2019年9月18日から22日の5日間の日程で、Hong Kong Convention & Exhibition Centreにおいて開催されました HONG KONG JEWELLERY & GEM FAIR SEPTEMBER 2019に出展して参りました。

 弊社は2007年に香港に現地法人を設立以来、リーマンショック、尖閣問題、イギリスのEU離脱、大型台風などの困難に見舞われましたが、現在の香港の状況は過去最も過酷な状況となっている様に思われます。香港で6月9日から始まった「 逃亡犯条例 」の改正を発端としたデモが激化し、200万人以上が参加するほどの規模にまで拡大し、香港警察が市民に威嚇射撃を行う事態にまで発展しています。

 香港はもともとイギリス領だったこともあり、西側に近い法律に馴染みがあり、中国へ返還後も一国二制度を採用する香港の人々にとって中国共産党のやり方は受け入れがたいのでしょう。この数年で中国を批判した人が香港から中国本土に連行されるケースが頻繁に起こっており、香港市民の中には自分も何らかの罪で本土に引き渡されるかもしれないと言う恐怖心があり、デモが更に拡大する事になれば21世紀の天安門事件が起こると危惧する声もある様です。

 香港市民のデモ隊は「 五大要求 」を主張しています。(1) 逃亡犯条例の改正案の完全撤回 (2) 市民活動を暴動とする見解の撤回 (3) デモ参加者の逮捕・起訴の中止 (4) 警察の暴力的制圧の責任追及と外部調査実施 (5) 林鄭行政長官の辞任と民主的選挙の実現 の5つで、要求が満たされない場合は抗議をエスカレートさせるとしています。学生なども香港大学など主要大学のほか、100を越える中学、高校でボイコットが始まり、勉強よりも自由が大事と声をあげています。また、一部のデモの過激化が加速しており、警察との衝突を繰り返しています。逮捕者は200人を超え、うち44人が最高刑が禁錮10年と重い暴動罪で起訴されました。警察が取り締まりを強めるほど、大きな反発を生む不信の連鎖に陥っています。

 これに対し中国本土側は香港のデモを激しく非難しており、より強硬な姿勢が必要との見方を示しています。中国で治安維持を担当する人民武装警察部隊を香港と隣接する深圳に集結させ、いつでも治安出動させるとデモ隊を牽制しています。また、中国は深圳の大規模開発計画を発表し、脱香港の動きを見せています。新計画は特別行政区である香港、マカオと広東省などの9都市を一体化する大港区開発構想の一環と位置付けられていますが、深圳を香港以上の都市に育て、香港と大陸側諸都市の間にある権限や影響力の違いを解消し、香港の力を弱体化させ、本土中心の中国にする計画の様です。

 4日に林鄭行政長官により逃亡犯条例の改正案の完全撤回が発表されましたが、逆に若者らの政府不信は募り、行政長官を民主的に選ぶ普通選挙にまで要求は拡大し、デモが収束に向かう兆しはありません。10月1日の中国建国70周年に向けて抗議活動を過激化させる可能性もささやかれています。デモの過激化や長期化はアジアを代表する香港の経済に影を落としています。香港は米中貿易摩擦を受けて約10年振りの低成長に沈んでいますが、デモにより観光客や消費の減少がさらなる打撃となり、更なる経済の悪化は確実な状態となっています。

 この様な状況の現地香港で開催された今回のジュエリーショーは、過去に例を見ない程来場者は少なかった様に思われました。今回のデモが反中デモと言う事もあり、中国人バイヤーの方々は身の危険を感じ多くの方が来場を見合わせる形となった様です。現地香港在住の方々もとても宝飾品を購入する気分にはなられない様で来場される数も少なかった様に思われました。他の国からの来場者の方もわざわざこの様な状況で香港に行くという方も少なく人の少ないジュエリーショーでありました。

 また、米中貿易摩擦の影響もジュエリーショーに出て来ています。今回アメリカからお越しのバイヤーの方は香港で購入された商材をアメリカに持ち込むと、香港は中国と位置付けられている為追加の関税が課せられ、今迄の様には仕入れは出来ないと仰っていました。政治・経済ともに我々の業界のみならず、各産業に大きな影響を与え始めています。現地香港においても企業倒産が相次ぎ、失業者がかなり増えてきているとの事です。

 今回のジュエリーショーはどの様な商材が売れる云々よりも、今後の香港がどうなって行くか、それに伴いジュエリーショーの在り方がどうなって行くかを考えさせられるものとなりました。今後大きく流れは変わって行くのでしょう。今回大変な状況の中、お越し頂きました皆様に心より御礼申し上げます。この危機を乗り越え、次回ジュエリーショーにおきましても皆様とお会いできることを楽しみにしております。ありがとうございました。