第29回 神戸国際宝飾展(IJK)

期間
2025/05/15〜2025/05/17
会場
神戸国際展示場
ブース
C7-2
1
展示会情報

 2025年5月15日より17日の3日間の日程で、神戸国際展示場において開催されました 第29回 神戸国際宝飾展 ( IJK2025 )に出展してまいりました。

 トランプ大統領就任100日が過ぎ、トランプ政権の政策で世界の様相が大きく変わってきています。従来の社会的、政治的、経済的な諸原則が否定され、グローバル化に逆回転がかかり、壮大な保守革命が起ころうとしています。

 トランプ政権の関税政策は、全貿易相手国・地域を対象に一律10%の関税を課し、追加で約60の国と地域を対象にトランプ政権が独自に算出した関税を課すとしており、世界中で混乱を招いています。関税政策や経済の不確実性が高まり世界の投資家や企業は運用戦略の再考に動き始め、米国依存から脱却する様に米国への投資マネーが各国へ回帰し始めています。

 世界は大きく変わり、過去の常識が全く通用しない時代に入ってきています。産業構造を見ても、半世紀前より経済を牽引していたのは製造業で、製造業が儲かれば、雇用が拡大し、経済の拡大に繋がっていました。今はインターネット関連のプラットフォーマーの台頭を経て、AIが台頭してきておりワンランク上の成長が始まり産業構造の変化が起ころうとしています。新しい技術のもとで先端企業は更なる成長を遂げ、旧態依然にしがみつく企業は衰退していく構造になっています。

 我々の業界の構造も大きく変わり、インフレによる物価高により販売の現場での対応が難しくなっています。世界的な先行き不安から、金は過去最高値圏で推移しており投資需要は昨年の2.7倍となっており、この先も上がる可能性を秘めています。一方で宝飾品需要は20%減となっており、これだけの高騰が続くとコインやネックレスの需要が増えているのを見ても分かるように、金はもはや投資対象となっています。

 もともと古い体質で、変化の少ない我々の業界は、現在の時代の変化についてきておらず、現在の世界的なインフレに対応出来ていません。今後もインフレ進行が起こればもはや宝飾品の販売は厳しいものとなるのかもしれません。また、国内では宝飾品を購入する世代は高年齢層が中心で、若者層へのアピールが急務となっています。今の時代に合わせた変化、今後の未来に向けた変化が必要となっています。

 しかし、我々の業界も今後の日本景気、内需の拡大によりまだ期待はできるのかもしれません。インバウンドの恩恵を受け、宿泊業や飲食業など、サービス関連の需要が非常に強くなっており、供給不足で建設も非常に活発化しています。内需関連の消費、投資、生産、需要の連鎖的増加という好循環が起きつつあります。加え、米中対立によりサプライチェーンを日本に移す動きも目立ち、今後は輸出より内需が牽引するのでしょう。

 この様な状況下での開催となった今回の神戸でのジュエリーショーは現状を色濃く表す雰囲気であった様に思われました。宝飾品需要の減少により例年よりも来場者数が少ない印象でしたが、特に今回は国内の小売、卸業の来場者が激減していました。国内での宝飾品の販売が厳しい様で国内向けの仕入れをなさる方はかなり少なかった様に思われます。

 また、引き続く中国の景況感の悪さから中国人バイヤーの数もかなり少ない様でした。その中でも、フィリピンなどのASEAN諸国の方々のライブコマースによる販売は各企業の出展ブースにおいて賑わいをみせ、多くの出展企業ブースでライブコマースに特化したブースを作成するなど、以前よりもジュエリーショーにおける販売方法に変化をもたらした企業ブースが目立っていました。

 今回の状況では国内向けだけの販売ではジュエリーショー、出展企業が成り立たず、今後のジュエリーショーは国内との乖離が進んでしまいそうです。16日発表の実質成長率も日本や米国などでマイナス成長となっており、インフレに先行き不透明感が重なり、個人消費が鈍り、景気にブレーキがかかってきています。今後も国内での宝飾品の販売は厳しさを増していくのでしょう。

 今回は時代の変化、今後の方向性に向き合うジュエリーショーとなりました。来場者数が減ろうが趣向を凝らし、より前向きに真剣に取り組んでいた企業のブースには多くの来場者で賑わいを見せていました。時代は変化し、また変化を求められています。弊社も次回ジュエリーショーに向け、変化に取り組んでまいります。今回お越し頂きました皆様ありがとうございました。心より御礼申し上げます。また次回ジュエリーショーにてお会いしましょう。